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国際賞Prix​​ Ars Electronica 2021で栄誉賞!evalaによる空間音響アルバム『聴象発景 in Rittor Base – HPL ver』

2021.06.15

evalaによる空間音響アルバム『聴象発景 in Rittor Base – HPL ver』が、芸術・先端技術・文化の世界的コンペティションであるPrix​​ Ars Electronica 2021 Digital Musics & Sound Art 部門において、栄誉賞を受賞しました。

本作品はevalaによる新たな聴覚体験を創出するプロジェクト”See by Your Ears”の1つであり、広大な日本庭園での展覧会『聴象発景』を疑似体験できる、最新鋭のバイノーラル技術を用いたヘッドフォン観賞用の空間音響アルバムです。

”音楽と音が、これまで以上に、重要な社会的問題を探求するためのメディウムであることは明らかである”と審査員が評する通り、このDigital Musics & Sound Art部門の応募総数は過去最多の1,150作品。日本からは唯一の受賞となりました。

■贈賞理由
evalaは極めて重要な現代のサウンドアーティストで、プロジェクト「See by Your Ears」(SbYE)では「耳で視る」というコンセプトに基づいて、これまでにない聴覚体験と音響表現を追求しています。現在、多くの音楽作品は、しばしばオーディオビジュアリゼーションなどの視覚的な要素と組み合わされて提示されるようになっていますが、しかしevalaは、音楽や音響が持つ「聴覚を刺激する」という根幹的な力を用いて、視覚体験を“創り出す“ことを試みています。
この作品は、自然のサウンドスケープと音響合成のサウンドスケープを融合させることで、目を閉じて聴くと、それまで全く見たことのなかった景色が眼前に広がるという新しい体験を創り出します。アーティストの中には、コンセプトを他より優先するあまりその他の要素を軽んじてしまう人もいますが、evalaの作品は、特にその質の高さにおいて、特筆すべきものです。evalaは稀有なアーティストです。彼の作品の中には美と暴力性が共存しており、審査員は彼の今後の作品に大変高い期待を寄せています。
https://ars.electronica.art/prix/de/winners/digital-musics-sound-art/

■evalaのコメント
現存する日本最古の煎茶室に最新鋭の立体音響システムを持ち込み、ひとり何日も籠もって、作曲していた日を鮮明に覚えている。それまでの僕は、美術館や劇場の閉じた世界の中で自分の思うままに音を描いていた。だがその歴史ある空間では、窓を開け放ち、庭園のあちこちにマイクロフォンを設置し、今そこで生きている音の生態系と共存しながら作品をつくった。カラスや風が邪魔をしたり、魚や自動車が合奏したりしてくる。しだいに現実の境界が曖昧になっていった。自分がプログラムした音かどうかも自分自身で区別つかないのだ。自分の体内と外、そして幻想の世界がとけあうような感覚を覚えながら、展覧会「聴象発景」をおえた。

香川から東京に戻って数ヶ月後、この展覧会の音だけの上映企画を御茶ノ水のRittor Baseからいただいた。ちょうど外出にはマスクが必須になりはじめた頃だ。大都会のビルの地下、真っ暗闇にした会場に音がかけめぐると、知ってるようで知らない景色が広がった。見えないものに耳を傾け、身体の知覚を研ぎ澄ませるとき、一人ひとりの内側に異なるイマジネーションが現れる。人間と他種が共生していくには、こうした見えない知覚に感覚を委ねることが大切なのかもしれない、そんなことを静かに思った。そして僕は、10年ぶりにアルバムという単位の音源リリースを決めた。
本作は、その旅の記録です。

■『聴象発景 in Rittor Base – HPL ver』  について
evalaによる新たな聴覚体験を創出するプロジェクト”See by Your Ears”の1つであり、広大な日本庭園での展覧会『聴象発景』を疑似体験できる、最新鋭のバイノーラル技術を用いたヘッドフォン観賞用の空間音響アルバムです。

『聴象発景』(主催: 中津万象園 保勝会、キュレトリアルディレクター: 阿部一直)とは、歴史的文化財を先鋭的サウンドアートの力で変容させる実験的企画として、330年余の歴史をもつ日本庭園を舞台に、香川県の中津万象園・丸亀美術館で2019年に開催された音の展覧会です。evalaは、近江八景を見立てた庭園ゆかりの琵琶湖周辺で収録した音や園内のリアルタイムの環境音をもとに、独自の立体音響技術で作曲し、空間と時間軸が交錯する3作品を発表、現存する日本最古の煎茶室・観潮楼を含む庭園各所に設置しました。

本作品は、この3作品をめぐり庭園内を実際に歩くかの如く体験できるよう特別に再構成したものであり、2020年2月に御茶ノ水Rittor Baseにて発表した作品の収録音源です。2021年1月25日にリリースしました。8.1.2chで構成された会場での音をヘッドフォンで疑似体験できる技術、HPL®︎を採用し、空間音響ならではの没入感を楽しむことができます。
https://seebyyourears.jp/projects/chosho-hakkei-rittor/

収録楽曲:
1 Atmos Crossing
2 Reflection/Inflection #1
3 Artificial Storm
4 Tropicalization
5 Reflection/Inflection #2
計41分43秒

作品クレジット:
-All Sound Production
Compose, Recording, Mixing: evala
-HPL Mastering: Jiro Kubo
-Cover Design: Ryoji Tanaka
-Cover Photo: Kenshu Shintsubo
-Curatorial Direction: Kazunao Abe
-Produced by “See by Your Ears”

Special Thanks to:
Rittor Base, ACOUSTIC FIELD INC., Semitransparent Design, Banshou-en Conservation Association, Nakazu Bashou-en Marugame Art Museum, Whole Universe, EDGEof, and Akio Suzuki

配信先:
OTOTOY(ハイレゾ) https://ototoy.jp/_/default/p/668461
Spotify、Apple Music等、その他配信先 https://orcd.co/yvj6d10

HPL®︎(Headphone Listening)とは:
2chステレオから22.2chサラウンドと言ったあらゆるサウンドフォーマットを、ヘッドフォン&イヤフォンで再生することができる高音質バイノーラルプロセッシング技術です。
https://www.hpl-processing.com

■アルスエレクトロニカとは
オーストリア・リンツ市に拠点を置く、メディアアートの世界最高峰の機関。アート・テクノロジー・社会をつなぐ場として毎年9月に行われる「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」の他、未来のミュージアムである「アルスエレクトロニカ・センター」、メディアアートの最先端コンペティションである「プリ・アルスエレクトロニカ」、R&D機関である「アルスエレクトロニカ・フューチャーラボ」の4部門を軸に、未来の人類と社会を描き続けています。

プレスリリースはこちら

掲載情報(掲載順)
OTOTOY
https://ototoy.jp/news/102072

ガジェット通信
https://getnews.jp/archives/3036413