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十和田市現代美術館 「インター+プレイ」展 evala新作『Anechoic Sphere – Haze』発表

2020.07.27

人間と他種が呼応し、共生する方法とは、見えない知覚に感覚を委ねること――

十和田市現代美術館 「インター+プレイ」展にて、evala最新作『Haze』が公開スタート

「靄(もや)」につつまれたような薄闇のなか、体験するもの一人ひとりの内面に異なるイマジネーションをつくりだす。
さまざまな気配に耳を澄ます15分間。

立体音響による独自の作曲手法で先鋭的な作品を発表し続けるサウンドアーティストevala。
全3期にわたって十和田市現代美術館で開催される、Arts Towada 十周年記念「インター+プレイ」展
第1期【 2020年7月23日(木・祝)〜2021年8月29日(日)】にて、
代表作シリーズ『Anechoic Sphere』の最新作となる『Haze』が公開となりました。

十和田市現代美術館 「インター+プレイ」展 - evala「Haze」image
Photo by Ichiro Mishima

この企画展は、十和田市現代美術館にて本来4月から公開される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のための延期を経て、いよいよ第1期が開催されます。作品のタイトルである『Haze』は、「靄(もや)」を意味します。曖昧で朦朧とした先の見えない状態から、パンデミックを想起させつつも、evalaはこれを何かが終わり、新しい何かが始まるポジティブな予感を与える言葉と捉え、作品名としました。
本作には、evalaが世界中から集めてきた音に加え、十和田湖畔周辺の音も作曲に使用し、当地の気配を取り入れています。それらの音は、9年ぶりに更新した自身の音日記『hacking tone』でも会期中に公開予定です。また、Anechoic Sphereシリーズでは初の光をプログラミングした空間設計により、湖の水面や靄のイメージと音が重なり、展覧会のテーマ「インタープレイ(相互作用)」の場として、内と外の境が交錯するような時空間が広がります。
約15分間の体験を通して音が体の中に豊かなイマジネーションを喚び起こし、鑑賞者それぞれの内側に無数の物語を生み出します。

作品について evalaのコメント

“この数ヶ月、ぼくの生活には大きな変化があった。それが新しい日常になりつつある。人間と他種が呼応し、共生するには、まず目に見えない知覚に感覚を委ねることだ。靄につつまれた十和田は、あらためてそれを教えてくれた。見えないは、わからないではない。身体の知覚を研ぎ澄ませるとき、一人ひとりが異なるイマジネーションをつくりだす。それを丁寧に引き出すこと。
『Anechoic Sphere – Haze』はそんな作品になりました。 ”

Anechoic Sphereシリーズについて

evalaによる「耳で視る」をコンセプトとしたプロジェクト、「See by Your Ears」の代表作のひとつ。世界中のいろいろな場所でさまざまな音を録り集め、立体音響技術による独自の作曲方法によって、ひとつの幻想世界を作り出す。代表作に、暗転した無響室の中、音によって体を弄られるような感覚を体感する「Our Muse」、香川県丸亀市の日本庭園・中津万象園にて現存する日本最古の煎茶室を舞台に発表した「Reflection/Inflection」など。

Anechoic Sphere PROJECT

Arts Towada 十周年記念 「インター + プレイ」展 第1期情報

新しい創造を生みだし、インスピレーションの源泉となってきたArts Towadaの中核、十和田市現代美術館は、アートを通じて人と人、人とまちが出会う、インタープレイ(相互作用)の現場であり続けてきました。本展は、その精神を体現するものです。3期を通じて、身近なものをモチーフに私たちの五感を刺激する作品をつくる鈴木康広が、ベンチにもなる大型の野外彫刻を設置。引力をもち、そのパワーが外側へと広がっていく十和田の姿を表現しています。また、近年芸術祭や大規模個展で注目を集めている目[mé]は、まちなかの建物に真っ白なギャラリー空間を唐突に出現させます。
美術館内では、鏡とビデオカメラとプロジェクターを使い、見る人の感覚を撹乱する津田道子のインスタレーション、音に身をゆだね溶け込んでいく感覚をもたらすevalaの作品、十和田での滞在調査を踏まえ〈赤〉をテーマに制作される松原慈の新作を展示します。また、会期中には問題行動トリオが美術館の展示室で、音楽とダンスの公演を行います。

■全期・・・鈴木 康広[十和田市現代美術館 前庭に展示]、目[mé][十和田市まちなかに展示]
■第1期出展作家・・・津田 道子、evala、松原 慈
■パフォーマンス・・・問題行動トリオ(野村 誠+佐久間 新+砂連尾 理)[会期ごとに1回ずつ開催予定]

会期:2020年7月23日(木) – 2021年8月29日(日)
開館時間:9:00 − 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合はその翌日、ただし8月3日(月)、10日(月)、11月2日(月)は臨時開館。12月以降の臨時開館、休館については美術館webにてお知らせいたします。)
主催:十和田市現代美術館
ファブリック協賛:クリエーション バウマン ジャパン
協力:青森公立大学国際芸術センター青森
後援:東奥日報社、デーリー東北新聞社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、十和田市教育委員会
入場料:観覧料 企画展+常設展セット券1200円。
企画展の個別料金は一般800円。団体(20名以上)100円引き。高校生以下無料。

*「Haze」は、新型コロナウイルス感染予防対策のため、毎日開館と同時に整理券を配布し、各回上映(約15分)につき定員5名で観賞いただきます。詳細については、美術館にてご確認ください。

URL:http://towadaartcenter.com/exhibitions/artstowada10th-interplay-001/